シェアハウス投資に興味があるだけで挑戦する方ははっきり言って無謀です。私が初めに強く言う理由は失敗事例をいくつも見てきているからです。
だからこそこれからシェアハウス投資に挑戦しようとしている方にはどういう視点をもってシェアハウス投資に臨むべきかをお伝えします。
この記事がオススメな方
・シェアハウス投資の失敗事例を見て失敗を回避するポイントを押さえたい方
・投資すべきシェアハウスのポイントを理解しておきたい方
・シェアハウス投資事業の考え方や設計フローを学びたい方
まず初めにシェアハウス投資における失敗事例をご紹介します。
シェアハウス投資の失敗事例
シェアハウス投資が失敗しやすい、もしくは失敗した事例下記7つご紹介します。
- サブリース問題
- スルガ問題
- コロナの影響
- 管理会社の問題
- 小規模施設への投資
- 利回りのみをみる視点
- 稼働率への過度な期待
まず初めにサブリース問題についてです。
1.サブリース問題
かぼちゃの馬車で有名になったシェアハウス投資被害がありました。概要はこちらです。
最初の100棟ぐらいは立地的にも良かった印象です。ただ、その後に仕込んだ物件の立地がひどかったです。
目利きが聞く人は最初の物件を見て、購入されたのかもしれません。ただその後の経営方針でとてもへんぴなところにも立てておりました。
そして最終的に収支が悪化したと考えられます。
また提携していた派遣会社も離れていったため集客チャネルがなくなったことも同時に大きい影響を与えるとは思います。
それ以外にもスマートデイズの問題は他にも色々とあります。サブリースをするから安心というシェアハウス投資商品はかなり慎重に見たほうが良いです。
大事なのはその会社が他に借上げて運営しているシェアハウスが収益をあげてそうかどうかですね。
2.スルガ問題
こちらは不正融資の問題です。
このような不正融資は、金消契約の違約事項にあたります。そのため、期限の利益の損失として、一括返済を求められます。
人によっては一括返済を求められたが、不動産を売却しても残債が残り、破産となるケースもあります。
こういったケースもあるため不動産業者から進められたとしても断るべきです。
3.コロナの影響
アフターコロナ、ウィズコロナ時代と言われ、人との接触を減らすことを意識する方の増加が見られます。その影響でシェアハウスに住む方も減りました。
ただシェアハウスの需要は年々高まっており、シェアハウスを選択肢として家探しをする方が15−20%ほどいるというデータがあります。
ただ、パンデミックが起きるたびに退去者は増え、一時的に稼働率は減ります。2020年から2021年にかけてのシェアハウスの廃業数も増えました。
しかし面白いことに廃業数は増えましたが、全体としては増加傾向ではあります。
コロナによって稼働率が下がり、収益が下がり、キャッシュフローが合わないことで廃業するケースもあります。
そのあたりもリスクとして盛り込んでおくと良いです。
4.管理会社の問題
シェアハウスに限らず不動産賃貸は管理会社で変わると言っても過言ではありません。
そのため管理会社における下記のようなポイントをチェックしておきましょう。
- 管理会社の口コミや評判
- 掲載サイト数 ※できれば5−7サイトほしい。
- 仲介業務や賃貸管理の知識があるか
- 宅地建物取引士などの専門家が一人でもいるか
上記のようなポイントを抑えられることで問題やトラブルの発生に対応できます。
5.小規模物件への投資
10名未満の物件の場合、 一般賃貸として貸したほうが収益性が高い場合が多いです。また仮に10名以下のシェアハウスとしてリーシングを行ったとします。
そこで1名でも入ってしまいますと、今度は空にするときに追い出す費用がかかります。小規模物件を運営する場合は特に綿密に収支計画をしっかり確認しましょう。
6.利回りを見る視点
表面利回りは非常に高くなります。ただ運営費は結構かかるため、収益を見た上で、実質利回りで計算しないといけません。
7.稼働率への過度な期待
年間平均稼働率95%は一般賃貸の世界では当たり前かもしれません。しかしシェアハウス業界ではほぼ起こりません。
周辺地域や掲載サイトの分析など細かい分析を行い、やっとのことで問い合わせが来たとしても問い合わせから内覧獲得も良くて40-50%程度です。
そして内覧から入居獲得までの確率はさらに減ります。さらにシェアハウスは長期滞在用で住む方は決して多くはありません。
そのため年間平均稼働率で80%台を超えてる物件はかなりいい状態です。まして90%までいくとほぼ満室状態といっても良いでしょう。
入居者の平均入居期間数は50%の方が11ヶ月というデータがあります。
半分の方が1年以内に退去する、ということになります。
退去した部屋がその翌日からすぐにうまることは無いように、一定の空室期間があります。
そのためしっかり計画を立てたい方は70%稼働で計算してみましょう。
コロナになって稼働率がガクッとさがりましたが、最低数値は60%ほどでした。
稼働率の考え方から4−7名定員のシェアハウスを運営する場合、2室ほど空いてる状態が続くと考えます。
そのため収益的にはそのまま一括で貸す一般賃貸のほうが収益性が高い場合があります。
上記7つのポイントを見てみると
シェアハウス投資はやっぱり不安だな、、、
そう思う方もいるでしょう。ただ投資する魅力のあるシェアハウスがあることも事実です。
そこで次に投資するメリットがあるシェアハウスの特徴についてご紹介します。
良いシェアハウス投資の3つのポイント
次にシェアハウス投資をする場合の3つの抑えるべきポイントについてご紹介します。
- ニーズを抑えている
- 出口がある
- 稼働率60%設計ができている
1.ニーズを抑えている
シェアハウスに住んだことが無い方がシェアハウス事業をやっているケースがほとんどです。
そのため一般的には立地、広さ、値段が重要だと思っている方がほとんどです。
それも間違いではありません。
ただそれ以上に入居者、管理担当(オーナー、管理会社担当)との関係性も同等以上に大切です。
一般的な入居希望者のニーズ一覧
- 価格は5−7万円
- 広さは8−10㎡
- 共用部が広い
- 乾燥機があるコイン式ではない
- 浴槽がある
- 洗面台がある
- 洗濯物干しが各部屋にある
- 部屋の鍵が電子ロック
- 宅配ボックスが大きい
- 自転車置場があるなどなど
プラスαのニーズ一覧
- 入居者同士で最低限のコミュニケーションができる
- 管理会社の対応が早い
- オーナーや管理会社とのコミュニケーションが円滑
上記のようにニーズは日々変化しているため抑えることがポイントです。
2.出口がある
最終的にシェアハウス運営のゴール設定ができているかどうかについてです。
シェアハウスをシェアハウスとして売却が出来るなら問題ないのです。
ただ出来ない可能性もあることを視野に入れてゴール設計をすることが大切です。
理由としてシェアハウス投資自体、金融機関が融資をつけにくいからです。
建物を取り壊して土地として売却 ・施設として運用できる等の出口を準備しておくことを決めておきましょう。
3.稼働率60%設計ができている
上記の出口設計と近いですが稼働率60%でもキャッシュフローが回る設計ができていることです。
シェアハウスを運営して行くだけでなく、事業を行うのであれば収支計画を立てることが成功させるポイントです。
ただどうやって収支計画を作ればいいのか?
そこで次に収支計画の立て方をご紹介します。
シェアハウスの収支計画の考え方
次に収支計画の考え方について紹介する前にシェアハウス事業の根本的な考え方をご紹介します。
シェアハウス事業の考え方
一軒家や中大規模の物件をそのまま貸すよりも小分けにしてシェアハウスとして貸し出すことによって総収益を上げるビジネスモデルです。
ただ事業主体によって下記2つのパターンがあります。
1.オーナー
自らが所有者で物件の貸し出し方として、シェアハウスとして貸している
2.サブリースオーナー
自らは所有せず、オーナーより借上(マスターリース)をして、シェアハウスとして貸し出している。
シェアハウス事業の考え方を理解した上で次に収支計画の考え方をご紹介します。
収支計画の考え方 売上編
まず売上は主に3つの項目で構成されています。
家賃売上
シェアハウス事業の主な収入源の1つです。
共益費
基本的には水道、電気、ガス、通信料が含まれています。
シェアハウスによっては水道光熱費を頭割りする場合もあります。
ただ最近のシェアハウスではあまり見られません。
共益費は10,000円〜15,000円の間の物件がほとんどです。
初期費用
初期費用はいくつかの要素で構成されています。
- 清掃費用:預り金的な措置。実際の清掃費を当てて、差し引いた額を返金する。
- デポジット:預り金であり、売上としては預からない。
- 敷金礼金:基本的にはありません。
- 仲介手数料:こちらもあまりありません。
- 保証会社:初回保証委託料の紹介料を保証会社から受領する場合は一部売上となる。
- 火災保険:任意加入のところがほとんど、事業主が代理店登録をしている場合は紹介料として数千円の売上となる場合がある
売上となるのは初期費用として受領するものからはほとんどありません。
毎月の家賃と共益費が主な収入源です。
収支計画の考え方 支出編
支出は主に9つの項目で構成されています。
水道、電気、ガス
生活にかかる水光熱費代です。
1棟10室ほどの物件であれば一人あたり6000−8000円ぐらいで考えておくと良いです。
ネット
ZOOM会議がさくさく出来る固定回線にしましょう。
100Mbps以上のものが必須と考えてます。
消耗品
ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ゴミ袋、など生活をしていて必要になるものは経費になります。
広告掲載費
募集サイトの広告費や問い合わせの反響課金が多いです。
1件問い合わせ700−1000円ぐらいで見積もりましょう。
1ヶ月5000円から1万円ぐらいは見積もっておきましょう。満室時はかかりません。
ただ初回登録手数料など別途かかる場合もあります。
清掃費
最低週1清掃が基本あります。
交通費
清掃や内見時にかかる交通費もかかります。
家具家電積立金
家具家電が消耗品のように壊れていくため毎月3000円ほどは積み立てておきましょう。
火災保険の更新料
火災保険を更新する際にかかる費用です。
管理会社に依頼している時の費用
売上15−20%+清掃費が一般的です。
その他かかる支出は事業主体によって変わってきます。
事業主体がオーナーの場合
- 固定資産税
- 町内会費
- 建物メンテナンス費用
- エレベーター点検費用
- 貯水槽点検費用
- 消防点検費用
- 建物の修繕積立金:壁紙、リビングの床等結構汚れます。200円/㎡ぐらいは毎月積み立てておくことをおすすめします。
事業主体がサブリースオーナーの場合
- 家賃
- 更新料の積立金
- 毎年の保証会社の更新料 ※借りるときに保証会社に加入している場合
- 家具家電の積立金
まとめ
シェアハウス投資をする際はワクワクも大事だが実質利回りがどれだけあるかを確認しよう。
シェアハウス投資はシェアハウス事業を買収しているようなものであります。
そのためシェアハウス賃貸経営者のスタンスが大事です。
また管理会社にまるっとおまかせでも良いわけではありません。
自主管理のハードルも結構あります。
オーナーの追加予算が必要な場合もあるため、管理会社と戦略を立てながら打ち手を立てていくことになります。
ただ、収益性が上がる場合もあるので、1.5倍以上の収益が見込めるならチャレンジしても良いでしょう。