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Hotel Asakusa KANNONURA

立地も建物への評価も
"難しい"と言われた物件に、あえて宿泊を提案

December 16 , 2025

Information

所在地:
東京都台東区浅草三丁目29番4号(浅草エリア)
タイプ:
ホテル(中長期滞在も可能な設計)
建物構造:
鉄筋コンクリート造 陸屋根5階建て
築年月:
平成10年3月23日新築
規模:
延床面積 435.80㎡/全14室(約15㎡/室)
土地面積:
153.07㎡
面積:
延床面積 435.80㎡
運用形態:
Livmoが企画開発・運営・PMを担当(現在は別会社へ運営移管)
Livmoが関わり始めた時期:
2019年10月頃(コロナ直前)

Works - ストーリー

立地も建物への評価も”難しい”と言われた物件に、あえて宿泊を提案

浅草の中でも観光エリアから少し外れた「観音裏」に建つ、元・浅草寺病院の職員寮。オーナー様は当初、将来性への不安から 「建て直し」 も検討しており、一度は活用方法が見出せず手放された建物でした。

その後、この建物に可能性を見出した投資家が取得し、Livmo とともに 「観音裏に泊まる理由をつくる」ホテル企画 をスタート。ホテル運用は想定されていなかった物件・立地にも関わらず、私たちは課題を逆手にとり、 “この場所だからできる宿泊体験” を設計する方向に舵を切りました。

収益性と場所の価値、両方を見据えたホテル運営プラン

当該物件を取得したのは、不動産会社を経営する現オーナー様。投資家として、

  • 収益性
  • 実現性
  • 事業に必要なファクト

を重視される方でした。

Livmo はこれまでの運営実績をもとに、 取得後のホテル運営を前提とした事業計画 を提案。

立地の弱点を「理由づくり」に変換

浅草中心部からは少し離れているものの、その特性をマイナスに捉えず、 “そこにゲストが来たくなる理由” をつくる視点で企画。長期滞在者に必要な機能性・快適性を整えるだけでなく、地域との関係が自然に生まれる導線設計やコミュニティ構想など、ハードとソフトの両面から「この場所が選ばれる意味」を設計しました。

結果としてオーナー様にも、 「この場所だからこそ成立する運用プラン」 としてご納得いただくことができました。

観光ではなく”日常の浅草”を体験する、新しいホテルのかたち

ホテルが位置するのは、浅草寺の北側に広がる “観音裏”。正式な地名ではなく、地元で親しまれてきた呼び名です。観光客向けの華やかな表通りではなく、 地元の空気と文化を感じる滞在を届けること を目指しました。

デザインに「浅草の文化」を丁寧に落とし込む

  • 玄関に飾った手拭い
  • 三社祭のカラーをモチーフにした意匠
  • 階ごとに変えたテーマカラー

浅草らしさをさりげなく織り込んだ内装設計とアイテム選定。

地元とゲストが自然につながる仕掛け

“観光地に泊まる”のではなく、 “地元のくらしに一歩入る宿” をテーマに、地域と共に導線を企画しました。

  • パン屋さんが外国語で接客してくれる
  • 一緒に銭湯文化を体験できる導線
  • 着物で人力車を迎える体験プラン

浅草という街の”日常”にやさしく溶け込めるような仕組みを構築。

中長期滞在でも快適な構造

当時の浅草のホテルにはまだ少なかったランドリー設備を備え、各部屋にも個性を持たせ、 滞在するたびに新しい発見があるように デザインしました。

Asakusa1976 の続編として、「ここに泊まる理由」をハードとソフト両面から丁寧に仕立てた物件です。

“地域に根ざす宿”という思想を次のプロジェクトへ

運営期間はコロナ禍の2020〜2021年と短期間ではあったものの、海外からの帰国者やマンスリー利用など、 ニーズに応える機能価値が高く評価 されました。

物件は売却され現在は他社運営となりましたが、Livmo が大切にしてきた 「観光ではなく、日常に泊まる」 という思想は後続プロジェクトにも受け継がれています。

立地や規模に制約があっても、 “地元のくらしに溶け込む滞在体験” を企画し、地域の魅力とつなげることで宿の価値は引き出せる。その考え方が Asakusa KANNONURA には色濃く反映されていました。

Livmoの”ソフトデベロップメント”の流れ

私たちは、物件が持つ無形資産= 「くらしの体験価値(ソフト)」 を最大化する手法として、ソフトデベロップメントを重視しています。これは、設備・リノベーションなどのハードではなく、入居者像・過ごし方・空気感といった 目に見えない価値 を起点に再設計するアプローチです。

▼ Livmoのソフトデベロップメントの流れ
  1. 入居者ターゲットの設定
  2. 当事者を交えたエリア調査・ヒアリング
  3. コンセプト設定と空間企画
  4. 間取り・導線・設備設計
  5. 募集・運営・イベント支援まで一貫伴走