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Asakusa1976

「これからの当たり前をつくる」

台東区初の住宅宿泊事業モデルに挑んだ原点

December 16 , 2025

Information

所在地:
東京都台東区浅草5-46-5(奥浅草エリア)
タイプ:
宿泊/住宅施設(1F:ホテル/2〜4F:住居)
面積:
建築面積 55.62㎡/延面積 206.15㎡
運用形態:
Livmoが企画開発・運営を担当(現在は建物取り壊しにより運営終了)
Livmoが関わり始めた時期:
2017年8月提案 → 2017年9月26日購入

2018年6月15日:住宅宿泊事業法施行/台東区初の認可取得・メディア取材あり

Works - ストーリー

「これからの当たり前をつくる」
台東区初の住宅宿泊事業モデルに挑んだ原点

この物件の出発点は、「事業性」よりも “面白さ” でした。

当時はまだ、

  • 住まいとホテルのあいだのような滞在スタイルは一般的ではなく、
  • 住宅宿泊事業の制度もスタートしたばかり。

そんな中で私たちが提案したのは、

1階がホテル、2〜4階が住居(シェアハウス)という「くらすように旅する」滞在体験をつくるハイブリッド型施設。

観光とも賃貸とも違う “中間領域” をどう企画するか。7000万円規模の改修を伴う提案は決して保守的ではありませんが、「まだ誰もやっていないからこそ面白い」とオーナー様が背中を押してくれたことが、この挑戦の原動力でした。

課題解決だけでなく、 “新しい価値観をつくる企画” に共感いただけたプロジェクトでもあります。

駅近じゃないのに選ばれる宿
浅草の”奥”で仕掛けた滞在設計

本物件が位置するのは、浅草の観光エリアからやや離れた 奥浅草。下町の居住エリアで町工場も残る地域です。浅草駅から徒歩20分弱と、決して近い立地ではありません。

それでも Livmo が目指したのは、 “歩いてでも来たくなる宿” をつくること。

地域の空気を感じるファサード設計

ゲストが最初に目にする正面には、

  • 大きな扉
  • 土間
  • 生きた竹

などを配置し、日本文化と街の空気を感じられる仕掛けを用意。

「街にひらく」1階の設計

1階は鉄骨を活かした元工場の趣を残しつつ、扉を開けた瞬間に浅草の日常が広がる “開かれた客室” に。

この地域では、「1階で商い、2階を住まいにする」という生活文化が今も根強く、近所のお肉屋さんに行けば名前で呼ばれるような、顔の見える関係が残っています。その”日常の延長線”にゲストが自然に溶け込めるホテルをデザインしました。

1976年築の建物が持つ”昔からあるくらし”を体験へ変換

1976年築の建物が持つ素朴な魅力を体験してもらうため、 Livmoスタッフ自身が建物内に住み、日常の延長として宿を運営。 買い物帰りにゲストと挨拶を交わすような何気ない行動すら、滞在価値の一部として設計に取り込みました。

「当事者として原体験がある人」が関わることで、ゲストが”観光客”ではなく “この街にくらす人” として滞在できるホテルを実現。

台東区の”制度”を動かし、成果を出した先駆けへ

2018年、旅館業を伴う 1室運用の住宅宿泊事業 は台東区に前例がなく、地域の不安や慎重な声もありました。外国人観光客への懸念、地域ルールとの相性など課題が多い中、Livmo は開業前から地元住民と丁寧にコミュニケーションを重ね、

  • ゴミ出しルールを教わる
  • 日常的に挨拶を交わす

など、信頼を積み重ねていきました。

その結果——

  • 開業直後から稼働率70%以上を維持
  • 区内初の先駆事例としてメディア取材多数

建物自体はすでに解体されていますが、当時のオーナー様とは今も信頼関係が続いており、Livmoメンバーに新たな住まいをご紹介いただくなど、関係性はより深まっています。

ユーザーファーストな挑戦が”制度”を変えた

この物件の核にあったのは 「新しい価値観に挑戦する姿勢」 です。地域と向き合い、日常のルールを教わり、サービスの”顔”が見える運営をすることで、少しずつ地域に受け入れられ、やがて次の案件へとつながっていきました。

Asakusa1976 は、Livmo の “自分たちらしい挑戦” の原点 でもあります。メンバー一人ひとりが責任を持って地域に向き合い、制度を動かしながら、 新しい住まいのスタイルを実装する という、数字以上の価値を残したプロジェクトでした。

Livmoの”ソフトデベロップメント”の流れ

私たちは、物件の無形資産= 「くらしの体験価値(ソフト)」 を最大化するため、ソフトデベロップメントを重要視しています。これは、設備やリノベなどの ハードに頼るのではなく、入居者像・過ごし方・空気感といった “目に見えない価値” を起点に物件を再設計し、入居率・問い合わせ数の向上につなげる手法です。

▼ Livmoのソフトデベロップメントの流れ
  1. 入居者ターゲットの設定
  2. 当事者を交えたエリア調査・ヒアリング
  3. コンセプト設定と空間企画
  4. 間取り・導線・設備設計
  5. 募集・運営・イベント支援まで一貫伴走